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治療の流れ
問診・診察
現在の体の状態と過去治療歴等を確認させていただきます。
スクリーニング検査
妊娠が成立しない原因を調べるための検査です。
この検査結果をもとに治療方針を決定しますが検査を行っても原因が判明しない場合もあります。
治療方針の決定
問診、診察、スクリーニング検査の結果から治療方針をたてます。
治療には一般不妊治療と高度生殖補助医療があります。
不妊症検査について(スクリーニング検査)
スクリーニング検査とは
妊娠が成立しない原因を調べるための検査です。
この検査結果をもとに治療方針を決定しますが検査を行っても原因が判明しない場合もあります。
検査の種類
①ホルモン検査
排卵、妊娠継続に必要なホルモン等が適切に分泌されているかを調べる検査です。
②子宮鏡検査
胃カメラのようなもので子宮を覗き、子宮の形状やポリープや筋腫の有無を確認し子宮内の状態を観察する検査です。
ポリープ除去手術や不妊症の治療方針を決めるために行われます。
③子宮卵管造影検査・卵管通水検査・子宮鏡下選択的卵管通水法検査
子宮の入り口から造影剤または生理食塩水を注入し、卵管の通過性(閉塞や狭窄の有無等)や子宮の形(単角子宮や双角子宮等)、子宮内腔の異常(ポリープや筋腫の有無、癒着等)、卵管周辺に癒着がないか等異常がないかを調べる検査です。
子宮鏡下選択的卵管通水法検査について、詳しくは料金表をご覧ください。
④ヒューナーテスト(性交後検査)
性交後5~10時間以内に頸管粘液を採取し、精子が存在するか、精子の運動性があるか調べる検査です。
⑤精液検査
精液量、精子濃度、運動率、精子の形態等を調べる検査です。精液の性状は日によって変化するため、数回検査することが望ましいと考えられます。
スクリーニング検査を行う時期
検査によっては実施時期が決まっているものがあります。また、検査によっては複数回実施することもあります。
治療方針の決定
スクリーニング検査の結果と診察の結果から治療方針を決定します。患者様の年齢や既往歴等によっては、手術や早い時期でのステップアップを相談させていただくこともあります。検査方法等についてご不明な点がございましたらスタッフにお尋ねください。
①ホルモン検査に基づいた治療方針について
②子宮鏡検査に基づいた治療方針について
③子宮卵管造影検査・卵管通水検査に基づいた治療方針について
④フューナーテストに基づいた治療方針について
⑤精液検査に基づいた治療方針について
ホルモン検査
ホルモン検査とは
採卵、妊娠継続に必要なホルモン等が適切に分泌されているかを調べる検査です。
ホルモン検査の方法
採血を行います。
採血後、機械を用いて各ホルモンの濃度を測定します。
一部のホルモンを除き60分程度で結果が分かります。
【主な合併症】
・皮下血腫:穿刺時や止血不十分な場合に起こります
・アレルギー反応:アルコール消毒等によりかゆみや発疹等が出現する可能性があります
・神経損傷:穿刺時に手指のしびれや強い痛みがあり、しばらく継続します
・血管迷走神経反射:緊張や不安、痛みで起こるとされ、めまい(たちくらみ)、意識消失等を起こします
ホルモン検査を行う時期と測定項目
①月経開始2~4日目にFSH、LH、PRLを測定します
この検査によって排卵障害、卵胞発育に異常があるかを推定します
②高温期中期にE2、P4を測定します
この検査によって黄体機能が正常であるかを推定します。
黄体機能に異常があると着床環境が不良であったり、妊娠がうまく継続しなかったりします
③月経周期とは関係なくAMH、TSH、T4を測定します
この検査によって、予備卵巣能や甲状腺機能の正常性を確認します
FSH(卵巣刺激ホルモン) | 卵胞の発育を促進します |
---|---|
LH(黄体形成ホルモン) | 卵胞成熟と排卵を促進し、排卵後の黄体を刺激します |
PRL(乳腺刺激ホルモン) |
乳腺の発達と乳汁分泌に関与します 高プロラクチン血症は排卵障害や流産の原因となる可能性があります |
E2(卵胞ホルモン) | 卵子の成熟の指標となります |
P4(黄体ホルモン) |
黄体から分泌され子宮に作用して着床環境を整えます 高温期の維持、妊娠継続に必要です |
AMH(抗ミューラー菅ホルモン) | 卵巣の予備能を予測することができます |
TSH (甲状腺刺激ホルモン) | 脳下垂体から分泌されるホルモン |
T4(サイロキシン) | 甲状腺から分泌されるホルモン |
※甲状腺機能異常は排卵障害や流産の原因になるため、甲状腺の機能を調べるためにTSHとT4を測定します。
子宮鏡検査
子宮鏡検査とは
胃カメラのようなもので子宮を覗き、子宮の形状やポリープや筋腫の有無を確認し子宮内の状態を観察する検査で、ポリープ除去手術や不妊症の治療方針を決めるために行います。
子宮鏡検査の方法
- 胃カメラのようなもので子宮を観察します
- 検査は外来の診察時間内に行われ、5~15分程度で終了します
- 局所麻酔や痛み止めは使用せず行います
子宮鏡検査のリスク
①ごく稀に子宮に傷をつけてしまうことがあります
②膣内の細菌がお腹の中に広がり炎症を起こす可能性があります
検査後の生活について
①膣内の細菌が子宮・卵管を通ってお腹の中に広がることもあるので2日間抗生物質を内服していただきます
②検査当日は念のため浴槽には浸からずにシャワーのみとしていただきます
子宮鏡検査で観察される病態について
検査結果について
検査結果に基づいて治療方針を決定いたします。
必要に応じて連携施設を紹介させていただくこともあります。
費用
不妊治療開始時に行う検査の価格表はこちら。
ヒューナーテスト(フーナーテスト・性交後検査)
ヒューナーテストとは
性交後5~10時間以内に頸管粘液を採取し、精子が存在するか、精子の運動性があるかを確認する検査です。
ヒューナーテストの流れ
①排卵日を推定します
②来院する5~10時間前にタイミング(性交)をとります
③来院後、内診室で頸管粘液を採取します
④頸管粘液中の精子の有無、運動性を評価します
評価
①頸管粘液中に運動精子が存在する場合、頸管粘液による不妊ではないと判断します
②運動精子が確認できない場合には抗精子抗体陽性等を疑います
③精子が確認できない場合には無精子症(男性不妊)を疑います
治療方針の決定
①運動精子が確認できた場合は、タイミング療法または人工授精による治療を行います
②運動精子が確認できない場合、あるいは運動精子が少ない場合は、人工授精による治療を行います
③精子が確認できない場合は、精液検査を行い、その後の治療方針を決定します
精液検査
精液検査とは
精液量、精子濃度、運動率、精子の形態等を検査します。精液の性状は日によって変化するため、数回検査することが望ましいと考えられます。
精液検査の方法
精液は数日(2~4日)の禁欲期間(射精しない期間)の後に用手法(マスターベーション)で全量を採取します。
当院ではSQA-V(ジャフコ)という自動計測機器を用いて検査を行います。
精子正常値と診断
正常値 | 基準を満たしていない場合の診断 | |
---|---|---|
精液量(ml) | 1.5ml以上 | 乏精液症 |
精子濃度(/ml) | 1500万/ml以上 | 乏精液症 |
運動率(%) | 3900万以上 | 精子無力症 |
前進運動率(%) | 40%以上 | 精子無力症 |
正常形態率(%) | 32%以上 | 精子奇形症 |
白血球数(/ml) | 4%以上 | 濃精液症 |
精子自動性指数※ | 80以上 | – |
※精子の形態評価は、厳密な検査方法を用いた場合
※WHOラボマニュアルより
※精子自動性指数は当院独自の測定項目
精子自動性指数(Sperm Motility Index(SMI)について
当院で精液検査に用いている自動計測機器であるSQA-Vでは精子自動性指数(Sperm Motility Index:SMI)が計測できます。
SMIは運動精子濃度と運動速度を考慮して数値化した値のことで、体外受精での受精率との相関が報告されており、当院ではSMI値80以上を正常としています。
SMI値が80未満の場合でも自然妊娠は可能ですが80以上の場合と比べて低くなる傾向があります。
治療方針の決定
①精液所見が正常な場合はタイミング療法または人工授精による治療を行います
②精子数が少ない場合あるいは運動精子が少ない場合は、人工授精による治療を行います
③精子が確認できない場合は、無精子症と判断し精巣内精子回収法による治療を行います
※他の検査結果や既往歴等によっては相談をさせていただいた上で治療方針を決定します
精子特性分析機(SQA-V)
精子の数、運動性を自動で解析する機器です。
この装置で測定できる精子運動性指数(Sperm Motility Index:SMI)は、
精子の受精能力を評価できることが報告されています。
治療方針の決定
①ホルモン検査の結果に基づいた治療方針
LH、FSH、E2
PRL(高PRL血症)
AMH
P4
TSH/T4
②子宮鏡検査の結果に基づいた治療方針
子宮の形状やポリープ、筋腫の有無を調べる検査
- 検査結果に異状がない場合は、の検査結果を考慮して治療方針を決定します
- 着床・妊娠に大きな影響がない子宮筋腫や子宮ポリープが認められた場合は、他の検査結果を考慮して治療方針を決定します
- 着床・妊娠に影響を与える子宮筋腫や子宮ポリープが認められた場合は、手術を行います
- 軽度の子宮奇形が認められた場合は当院にて手術を行います
- 重度の子宮奇形が認められた場合は連携施設へ紹介をさせていただきます
- アッシャーマン症候群と診断された場合は手術を行います
- 慢性子宮内膜炎が認められた場合は内服による治療を行います
③卵管通水、卵管造影検査の結果に基づいた治療方針
*他の検査結果や既往歴等によってはステップアップについて相談をさせていただいた上で治療方針を決定します
*他の検査結果や既往歴等によっては、手術を行う前に高度生殖補助医療を行うこともあります
- 検査結果に異状がない場合はタイミング療法を行います
- 検査の結果、一方の卵管に異常(閉塞、狭窄等)が認められた場合はタイミング療法を行います
- 両側に異常(閉塞、狭窄等)が認められた場合は、手術(子宮鏡下選択的卵管通水法等)または高度生殖医療による治療を行います
④フューナーテストに基づいた治療方針
①運動精子が確認できた場合
タイミング療法による治療を行います
②運動精子が少ない場合
人工授精による治療を行います
③精子が確認できない場合
精液検査を行い、精液検査の結果と既往等を考慮して一般不妊治療を行わずに高度生殖補助医療による治療を行う場合もあります
*他の検査結果や既往歴等によってはステップアップについて相談をさせていただいた上で治療方針を決定します
⑤精液検査の結果に基づいた治療方針
①正常な場合
タイミング療法を行います
②軽度な異常の場合
人工授精による治療を行います
③重度な異常の場合
高度生殖補助医療(IVF/ICSI)による治療を行います
他の検査結果や既往歴等によってはステップアップについて相談をさせていただいた上で治療方針を決定します