精液の抗酸化力検査（TCA検査）
1）精液の抗酸化力検査（TCA検査）とは
精液中に含まれる種々の抗酸化物質の濃度を総合的に測定し、酸化ストレスへの抵抗力を測定する検査です。不妊男性では精液中の抗酸化力が低いことが報告されています（#1）。世界保健機関（WHO）ラボマニュアル第6版では精液検査の項目として精液の抗酸化力検査が追加されました。
（#1）Sajal Gupta. et. al. （Hum Reprod, 1999）
2）酸化ストレスと抗酸化力
酸化ストレスが増える原因には、加齢、ストレス、喫煙、過度の飲酒、激しい運動等があります。酸化ストレスは、精子の運動性の低下や精子DNA損傷を引き起こすことから男性不妊となる原因の一つに挙げられています。
酸化ストレスから細胞を守る力を抗酸化力といい、その作用を持つ物質を抗酸化物質といいます。精液中に含まれる精漿成分には抗酸化物質が存在しており、この濃度を測定することで精液の抗酸化力を評価します。精液の抗酸化力が低い場合には射出精液の運動性の低下やDNAを損傷した精子の割合が高くなる可能性があります。
3）精液の抗酸化力検査（TCA検査）の対象となる主な方
①精液所見が良好にも関わらず一般不妊治療で妊娠に至らない方
②精液所見が不良の方
③医師に検査が必要と判断された方
4）精液の抗酸化力検査（TCA検査）の検査方法
①精子を採取して提出します（精液の採取の方法は通常の精液検査と同様です）
②採取した精液から精漿成分を分離し専用の液を加えます
③精漿中の抗酸化物質の濃度によって色がつき、この色の濃さで抗酸化力を評価します
※検査結果が出るまで概ね2～3週間かかります
5）精液の抗酸化力検査（TCA検査）結果について
検査結果はA（良好）～C（不良）の3段階で評価されます。
| 評価 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 抗酸化力 | 1950μM以上 | 1420-1950μM未満 | 1420μM未満 |
6）精液の抗酸化力検査（TCA検査）の注意点
①精子濃度に関わらず検査が可能ですが、精液中に赤血球が存在する場合等は検査が行えない場合があります
7）費用
費用はこちらを確認ください
※精子クロマチン構造検査（SCAS）と合わせて実施することもできます