精子クロマチン構造検査(SCSA)
1)精子クロマチン構造検査(SCSA)とは
精子のDNAとタンパク質の複合体であるクロマチンの損傷状態(DFI)と精子核が未熟な精子の割合(HDS)を調べる検査で精子の質を評価します。世界保健機関(WHO)ラボマニュアル第6版では精子の質を評価する検査として精子クロマチン構造検査が追加されました。
2)精子のDNAが傷つく原因
精子のDNAが傷つく原因は様々ですが、風邪などによる高熱、疾病、生活習慣、ストレス等が挙げられます。
3)精子のDNA損傷と不妊の関連性
精子のDNAが傷ついた精子の割合が多い場合、妊娠の可能性が低くなることや流産率が高くなることが報告されています(#1,2)。また、精子濃度や運動率が良好であっても精子DNAは傷ついたり切断されていることがあります。
(#1)D. P. E. Evenson(Hum Reprod.1999)
(#2)M. Bungum(Hum Reprod. 2004)
4)精子クロマチン構造検査(SCSA)の対象となる主な方
①精液所見が良好にも関わらず一般不妊治療で妊娠に至らない方
②精液所見が不良の方
③医師に検査が必要と判断された方
5)精子クロマチン構造検査(SCSA)の方法
①精子を採取して提出します(採取の方法は通常の精液検査と同様です)
②採取した精子を専用の試薬を用いて染色します
③染色された色と割合によって精子の質を評価します
※検査結果が出るまで概ね2~3週間かかります
6)精子クロマチン構造検査(SCSA)の結果について
「精子DNA断片化指数(DFI)」はA(良好)~D(不良)の4段階、「未熟精子(HDS)」はA(良好)とD(不良)の2段階で評価されます。
評価 | A | B | C | D |
---|---|---|---|---|
DFI値 | 15%未満 | 15-24% | 25-29% | 30%以上 |
評価 | A | D |
---|---|---|
DFI値 | 15%未満 | 15%以上 |
7)精子クロマチン構造検査(SCSA)の注意点
①検査前の禁欲期間が長いと精巣内で精子がストレスを受けてしまい正確な評価ができない可能性があります(禁欲期間は2日が目安となります)
②2カ月以内に高熱が出ている場合や生殖器の感染症既往がある場合は一時的に数値が高くなることがあります(#3)
(#3)Martin Sergerie(Fertil Steril, 2007)
8)費用
費用はこちらを確認ください
※抗酸化力検査(TAC検査)と合わせて実施することもできます